第2章 誕生祝い to Nino
翔ちゃんの腕の中で幸せを噛み締めていたら
「ねぇ、前にも言ったかもしれないけど…カズはもっとワガママ言っていいんだよ?俺は甘えられてるみたいで嬉しいんだから、それでカズを嫌うなんてあり得ないからね?」
翔ちゃんが優しく言い聞かせるみたいに俺の目を覗き込んできた。
「自分の中に溜め込まないで、何でも我慢しないで言ってね」
“何でも”という言葉につい反応してしまう。
「何でも?本当に?」
「もちろん!」
翔ちゃんはにっこり笑ってくれたけど、本当にいいのかな?
言いたいことっていうか、聞きたいことはあるんだ。
翔ちゃんは気付いてないの?
俺のこと気にするばっかりで、翔ちゃんは何も話してくれてないんだよ?
そもそも俺がここまで不安になった一番の原因のこと。
「ほんとに聞いていいの?」
「いいよ!」
ついしつこく確認しちゃっても、翔ちゃんの笑顔は変わらなかったから。
「じゃあ、聞くけど…なんで俺に嘘ついたの?」
「えっ…」
「毎週末、智と2人で会って何してたの?」
「えっと…」
思いきって聞いてみたのに、急に翔ちゃんの目が泳ぎ出して。
消えたはずの不安が一瞬で戻ってくる。
「…やっぱり俺には言えないことなの?」
何聞いてもいいって言ったのに…
やっぱりダメなんじゃん…
「違う!違うよ!そうじゃなくて!」
不安が顔や声にも出てたのか、翔ちゃんが焦り出した。