第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
そりゃ俺だって、潤のことめちゃくちゃカッコいいと思ってるよ。
何にもなければきっと見惚れてたと思うよ。
でも今はニノが優先!
潤は逃げないと思うから後回しでいいの。
ニノがぽーっとしてる今がチャンスと、ニノを引きずるみたいにして2人に近付いていく。
たぶん俺たちを探してるんだと思うんだけど、2人ともキョロキョロしてあさっての方向を見てばっかりで、全然こっちを見てくれなくて。
「潤!翔くん!」
本当はこんな注目されてる中で、あんまり声を出したくなかったけど仕方ない。
気付いてもらえるのを待ってたら、どれだけ時間が掛かるか分かんないもんね。
「おー、さと…し?」
「え?カズ?」
呼び掛けに応えて振り返った2人は、俺たちを見るなり目を見開いて固まった。
驚いてる驚いてる。
とりあえずサプライズは大成功じゃない?
でも翔くんまでその反応はダメだよ。
こうならないようにって、前もってメールしたんじゃん。
ニノも我に返ったみたいで、繋いでる手にぎゅっと力が入った。
隣を見ると、ニノは青ざめて震えながらじっと翔くんの様子を伺っていて。
泣いてはいないけど、その目には絶望の色が滲んでる。
……俺、ニノを傷つけたら許さないって言ったよね?
呆然と立ち尽くす翔くんを睨んで、拳を固く握り締めた。