第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
浴衣の裾を気にしなきゃいけないし、慣れない下駄でただでさえ歩きにくいうえに。
ニノは気持ちも落ちてるから歩くのがめちゃくちゃ遅い。
行きたくない気持ちが歩みにも現れてるよなぁ。
「ねぇ…俺、やっぱり…」
すぐに立ち止まっちゃうし。
「そんなこと言わないで?みんな待ってるよ?」
そんなニノを励ましながら、その手を引っ張ってゆっくりゆっくり歩く。
「翔ちゃんに引かれたらどうしよう…」
「そんなことないから大丈夫」
「翔ちゃんに気持ち悪いって言われたら、俺立ち直れないよ…」
「もしそんなこと言ったら俺がぶっ飛ばしてあげるから」
ニノの口から次々不安が出てくるけど。
全部吐き出したらいいよ。
全部否定してあげるから。
だってそんなことは絶対ありえない。
心配するだけ無駄………な、はずだけど。
ただね、今のニノは可愛すぎるからね。
翔くんが2年前と同じ轍を踏んじゃう可能性は大いにある。
可愛さに見惚れて言葉を失っちゃうパターンね。
だから先にメッセージを送っておいた。
さっきニノが浴衣を着せられてる間にこっそり。
潤と一緒に花火大会の会場の駅まで迎えに来て欲しいことと、今日のニノは尋常じゃなく可愛いから言葉を失うかもしれないけど絶対に反応を間違えるなって。ニノを傷つけたら許さないよって。
了解って返事が来てたから大丈夫なはず。
女装については説明がめんどくさかったのと、会えば一目瞭然だから、特に触れなかった。
もうニノも忘れてそうだけど、そもそもは潤へのサプライズプレゼントだしね。
せっかくならサプライズも成功させたいからまだ内緒だ。