第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
その後は姉ちゃんに問答無用で化粧されて。
「いたたたた!おなかがいたいー!」
「ちょっと棒読みすぎじゃない?」
「そんな下手な仮病じゃ誰も騙せないわよ」
往生際悪く逃げ出そうとしたり、
「うぅ…なんでこんなことに…」
「カズが計画したんじゃない」
「大丈夫!可愛いよ、ニノ!」
現状を嘆いてみたり、
「うぇぇ…やだよぅ…」
「わ!ニノ!」
「泣いちゃダメよ!メイクが落ちちゃうでしょ!」
めそめそ泣いたりするニノを、2人がかりで怒ったり宥めたりおだてたりしながら、姉ちゃんが手際よく浴衣を着せていく。
俺は既に着せられ済で。
暑いし、動きにくいし、帯が苦しいしで、もう脱ぎたくなってるけど、ニノの手前口には出せない。
なんかおかしいよね?
サプライズで女装を強制されたのは俺で。
本来なら嫌がるのは俺のはずだったのに。
「ニノ、浴衣似合うよ!すごく可愛い!」
「似合うわけない…翔ちゃんに嫌われちゃうよぉ…」
「そんなことあるわけないでしょ!むしろ惚れ直されるって!」
今や立場が完全に逆転しちゃってて、何とかニノを宥めようと必死だ。
色々おかしいとは思うけど、ニノのトラウマ克服のためだから仕方ない。
「最後にウィッグ被ってね」
用意されてたのはふわふわしたボブのウィッグで、既に編み込まれて可愛い和っぽい飾りがついてる。
同じ髪型で飾りのついてる位置が左右で違うだけのものが2つ。
片方をはいっと手渡されたから、鏡を見ながら自分で被った。
ニノは自分から動くわけないから、最初から姉ちゃんが被せてる。
最後に姉ちゃんが確認して、ピンであちこち固定されて。
「出来た!はい、並んで並んで!」
ぐいぐい押されてニノと並ばされて。
「あらー♡可愛い♡本物の双子に見えるわよ♡」
並んだ俺たちを見て、大仕事を終えた姉ちゃんは満足そうに笑った。