第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
「2人で双子コーデにしたら絶対可愛いと思ったのよ♡」
「やだってば!」
「ほら!髪飾りもおそろいなのよ♡」
「俺は着ないってば!」
ノリノリの姉ちゃんに必死に抵抗するニノ。
2人の攻防をぼんやり眺めてたけど、はたと気付いた。
これはチャンスじゃない?
「ニノが着ないなら俺も着ない!」
「だめ!!」
はいっと手を挙げて俺も参戦してみたら、ニノに速攻で否定された。
予想通りだけど、それはずるいと思うんだよね。
「なんで?ニノは着ないんでしょ?」
「俺はいいの!」
「俺もいいじゃん」
「だめだってば!」
「じゃあニノも一緒に着ようよ、おそろいでさ」
女装セットが1組しかないなら諦めるけど、2組あるならニノも道連れにしたい。
「やだ!」
「なんで?」
「だって…」
自分でもずるいこと言ってる自覚はあるのか、反論するニノの声はどんどん小さくなっていく。
「俺が着たって誰も喜ばないもん」
「は?」
いやいやいや!何言ってるの?
え?本気で言ってるの?
「翔くんが喜ぶでしょ」
むしろ喜ばないわけがない。
嬉しすぎて狂喜乱舞するくらい喜ぶと思う。
でもニノは頑なに首を横に振る。
「喜ばないよ!俺は智みたいに可愛くないもん!」
「ニノのが可愛いってば」
なんでこんな頑なに自分の可愛さを認めないんだろうね?
毎日翔くんから浴びるように可愛いって言われてるのに。
首を傾げていたら、ニノの顔がくしゃりと泣きそうに歪んだ。