第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
-Oside-
花火大会当日。
俺は昨日ニノに言われた通り、みんなとの待ち合わせよりだいぶ早い時間にニノの家にやって来た。
「いらっしゃい、智くん」
サプライズプレゼントってなんだろうと思ってたけど、通されたリビングで待ち構えてたのは、何故か満面の笑みを浮かべたニノの姉ちゃん。
テーブルの上には化粧品やらウィッグやらが所狭しと並んでいて。
姉ちゃんの手には女物の浴衣と帯。
ご丁寧に全身映る鏡まで用意されていた。
こんなの嫌な予感しかしない。
「何これ?」
「潤くんへのサプライズプレゼント♡」
思わず顔を引きつらせてニノに聞けば、ニノはとっても楽しそうに答えてくれたけど。
「プレゼントって…」
「可愛い智だよ♡」
「任せて、智くん!私がとびきりの美少女にしてあげるから♡」
ああ、やっぱりね!そうだよね!鈍い鈍いと言われる俺でも、ここまでされたらさすがに分かったよ!
何がプレゼントだ!
騙されたことに腹が立って、じろりとニノを睨むけど。
「文化祭で和装喫茶やった時に女装してたのがすっごい可愛かったから、浴衣も似合うと思ったんだよね♡」
「智くん、可愛い顔してるものね♡」
きゃっきゃと盛り上がってるニノと姉ちゃんは気付きもしない。