第2章 誕生祝い to Nino
話し終えて不安そうに俺の様子を伺ってるカズに笑顔を向ける。
自分がしてしまったことへの後悔は山のようにあるけれど、カズへの想いは変わらない。
変わらないどころかますます好きになった。
「話してくれてありがとう。たくさん傷付けて苦しめて本当にごめん…でもカズの想いを知れて嬉しかった」
「翔ちゃん…」
掴んだ手に力を込めてしっかり目を合わせて伝えたら、カズの目が潤んだ。
「俺のことイヤになってない?」
「なるわけない!むしろ好きが増した!」
力いっぱい答えたら、目をまん丸にして驚いていたけれど
「こんな俺をそれでも好きでいてくれて…離れたくないって思ってくれて本当にありがとう。俺は幸せものだね」
想いを伝え続けると、カズは頬をピンクに染めて照れたようにはにかんだ。
それは作ったものではなくて。
ごく自然な表情に見えて。
最近見ていた笑顔とは全然違って。
こんなに違うのに気付いていなかったことに、また愕然としたけれど。
俺が落ち込めば、きっとカズもまた気にしてしまうから…
何にも気付いていないフリをして
「あ!そうだ!言っておくけど、俺の方がカズのこと好きだから!この気持ちの大きさはカズにだって負けないから!」
胸を張って宣言したら、途端にカズがムッとした。
「そんなことないもん!俺のが好きだもん!」
「いーや!俺だね!こればっかりは譲れない!」
しばらく子どものケンカみたいに言い合いながら睨み合ってたけど、急に笑えてきて。
それはカズも同じだったみたいで。
「ぷっ…」
「ふふっ…」
ほとんど同時に吹き出して。
2人して声を上げて笑った。
本当に楽しそうにカズが笑ってるのを見て、安心して涙が出るかと思った。