第1章 新年度
「のろけじゃん!」
隣で聞いていた潤も思わずと言った感じで突っ込む。
「違うもん!怒ってるんだもん!」
ニノはキッと潤を睨むけど。
いやいや、誰がどう聞いてものろけだよ。
はーっとため息をつくと、俺まで睨まれた。
「好きな気持ちなんて測れないんだから、比べたってしょうがないでしょ?お互い同じくらい好きでいいじゃん」
「だって…」
目を見て諭すように言うと、ニノはぷいっとそっぽを向いた。
もう、意外とガンコなんだから…
「早く仲直りしておいで」
「うー…」
ニノは俺にしがみついたまま離れない。
小さい子みたいで可愛いし、俺は全然いいんだけど。
潤と翔くんの視線が痛い。
一向に動かないニノに痺れを切らしたのは潤。
「お前らの痴話喧嘩に智を巻き込むな」
力ずくでニノを引き剥がそうとする。
「潤くんのうそつき!ヤキモチ妬かないって言ったのに!」
ニノはますます強い力で俺にしがみつく。
いくらニノが非力でも、さすがに苦しい。
「ヤキモチじゃねーよ!アホな喧嘩やめて、早く翔んとこ帰れ!」
潤は無理やりニノをひっぺがすと、翔くんのとこまで引きずっていって。
翔くんに向けてどんっとニノの背中を押した。