第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
「暑いし、人も多いだろうけどさ。みんなで浴衣着て、屋台で色々買って。絶対楽しいよ!」
浴衣姿の智と屋台をまわる?
例えば、射的したりリンゴ飴食ったりとか?
雅紀の言葉通りに具体的な想像をしてみたら、一気にテンションが上がった。
そんなの楽しいに決まってる!!
俺だけじゃない。
みんなワクワクしてるのが分かる。
ただ、人混みが苦手なニノはどうなのかなと思って。
ちらりとニノの反応を伺ってみたら、何故かニノは目をキラキラ輝かせていた。
嫌がってはいないようだが、他のみんなみたいに花火大会に行くことが楽しみというより、何か思い付いた時の顔をしているように見える。
それもロクなことじゃない気がする。
だって、俺と智を見比べて、ものすごいニヤニヤしてるから。
ニノはめちゃくちゃ楽しそうだけど、こっちはめちゃくちゃ嫌な予感しかしない。
でも、ああなったニノを俺に止められるとは思えない。
ってか俺だけじゃなく誰にも無理だろう。
それならもう面倒なことになりませんようにと祈るしかない。
「潤?」
こっそりため息を吐いてたら智に見つかってしまって。
心配そうな顔をさせてしまったから。
「なんでもないよ。花火大会楽しみだな」
「うん!」
芽生えてしまった小さな不安を隠して、慌てて笑顔を作った。