第14章 修学旅行
戸惑ってたら、翔ちゃんはふふっと笑って。
「それにね、俺はずっとカズと雅紀の関係が羨ましいと思ってたから。カズが俺にもありのままの感情をぶつけてくれたことが、すごく嬉しかったんだよ」
「ええっ…」
そんなことを本当に嬉しそうに言うから、ますます困ってしまう。
俺の雅紀に対する態度があんまり良くないのは分かってる。
でもどうしても雅紀相手だと恥ずかしくなっちゃって素直になれないんだよ。
翔ちゃんにはあんまりあんな態度取りたくない。
だって翔ちゃんの前ではちょっとでも可愛くいたいもん。
「そんなの喜ばないでよ…」
「なんで?俺は今まで以上にカズを近く感じて嬉しかったし、今まで以上にカズのことを愛しいと思ったよ?」
「……本当に?」
翔ちゃんはよく俺のこと可愛いって言ってくれる。
それって可愛い俺が好きってことじゃないの?
可愛くない俺でもいいの?
俺がちょっと疑ってることに気付いたのか、翔ちゃんは真剣な顔になって。
「俺だって新しいカズを知れば知るほど、もっともっと好きになるんだよ?カズと同じだよ?」
さっき俺が言ったことをそのままなぞるように口にする。
その言葉は俺の胸の真ん中にストンと落ちてきた。
ああ、翔ちゃんは恋人に暴言を吐くようなどう考えても可愛くない俺でも受け入れてくれるんだ。
ダメなところも含めて、ありのままの俺を好きだって言ってくれるんだ。
素直に翔ちゃんの言葉を信じることが出来たら、嬉しくてたまらなくなった。
本当に翔ちゃんと俺が同じなら、翔ちゃんも今俺と同じくらい嬉しいって思ってくれてるかな。
翔ちゃんが俺と同じくらい幸せな気持ちになってくれてたらいいな。