第2章 誕生祝い to Nino
「そんなの言えないよ…」
カズは俺の視線から逃げるように俯くと、首を横に振った。
「どうして?」
「だって…こんなのただのワガママだもん…言ったら翔ちゃんに嫌われちゃ…」
「俺がカズを嫌うなんて、地球がひっくり返ってもあり得ないよ!」
カズが涙目で訴えるのを、思わず途中で遮ってしまう。
だって絶対にあり得ないから。
「何を聞いても俺の気持ちは絶対に変わらない。それよりもカズが何に悩んでるのか分からない方が辛いし、気付かずにカズを傷付けていたなんて後悔しかない…こんなこと二度としたくないんだ…だから…」
ぎゅっと唇を噛み締めるカズから目を逸らさずに自分の正直な想いを伝える。
どうか自分の中だけに溜め込まないで。
俺にぶつけて欲しい…
そのまましばらくお互い無言で、まるで根比べのようになってしまったが、先に折れたのはカズだった。
小さくため息を吐いてから口を開いてくれた。
「俺…ずっと、ずっと不安だった…」
カズがぽつりぽつりと自分の気持ちを吐き出していく。
「翔ちゃんと両想いだなんて夢みたいに幸せで…でも俺と翔ちゃんじゃ好きの大きさが違うんじゃないかって…俺ばっかりどんどん好きが大きくなってるんじゃないかって…」
そんなわけない!!
思わず口を挟みそうになったけど、ぐっと堪える。
とにかく黙って最後まで聞こうと、カズの震える小さな声に耳を傾けた。