第2章 誕生祝い to Nino
少しカズが落ち着いた気がして、抱きしめていたカズをそのままふわりと抱き上げた。
ずっと床に…それもドアの目の前という微妙な位置に、中途半端な体勢で座っていたから、カズが腰が痛くなっていないか心配で気になっていて。
とりあえず場所を移動しようと思ったんだけど、何も言わずに持ち上げてしまったから
「えっ…わっ…」
突然のことに驚いたカズが、小さく声を上げながら慌てて俺の首に腕をまわしてしがみついてきた。
その動きが可愛くて、自然にくっついてくれることが嬉しくて。
頬にカズの髪の毛がふわふわ当たってくすぐったいのも、すごく幸せだった。
カズをそっとベッドに下ろして座らせると、俺はカズと向き合う形で床に座った。
カズを見上げるなんて、あまりないから新鮮で。
この角度から見るカズも可愛いなーなんて、つい呑気に見惚れそうになったけど。
いや、今すべきことはカズに見惚れることじゃない…
すぐに気持ちを切り替えて、そっとカズの手を握って。
まっすぐその目を見つめた。
「ねぇ、カズ…カズがずっと抱えてた気持ちを俺に教えてもらえないかな」
「え?」
カズは何を言われたのか分からないと言うようにキョトンとする。
「怒りでも恨みでも、なんでもいいから…俺は知りたいんだ、カズの本音を…」
本当はわざわざこんな聞き出したりしないで、俺が察知できれば良かったんだけど。
カズに隠されてしまったら、俺には気付けないってことが今回よく分かった。
情けないし、すごくカッコ悪いけど。
それでも、もうカズを苦しめたり1人で泣かせたりしたくないから。
教えて欲しい。
カズのことならなんでも。