第14章 修学旅行
「翔ちゃんは俺のこと信じてくれてないんだ!ひどい!」
「そんなことないよ!信じてるよ!」
急に怒り出した俺に翔ちゃんは大慌てで。
一生懸命否定してくるけど、そんなの信じられない!
「うそ!そんなことで俺が翔ちゃんのこと嫌いになるって思うなんて、俺の愛を疑ってるってことじゃん!」
だから不安で俺に全てをさらけ出せないんでしょ!
「そんなこと…」
「逆に聞くけど!翔ちゃんは俺の寝顔がブサイクだったり寝相が悪かったら、俺のこと嫌いになるの?!」
「そんなわけない!そんなことで嫌いになんてなるわけないでしょ!」
「俺だって同じだもん!そんなことで嫌いになんてなるわけない!……同じなのに何で信じてくれないの?」
怒りというよりも、悔しくて悲しくて。
じわりと込み上げてきた涙で目の前が滲んだ。
「カズっ…」
泣き顔を見られたくなくて俯いた俺に翔ちゃんが手を伸ばしてくる。
その手を思いっきり振り払ったら、弾みで涙がこぼれ落ちて。
視界がはっきりしたら、翔ちゃんが呆然と拒絶された自分の手を見てるのが見えたけど。
「ごめん…カズのこと信じてないわけじゃないんだ。自分に自信がなかっただけなんだよ…」
ポツリと呟かれた言葉にまた怒りが込み上げて。
「翔ちゃんのばか!」
止まらない涙もそのままに怒鳴ったら、翔ちゃんはびっくりしたように目を丸くした。