第14章 修学旅行
ここまで分からないなんて、もしかして俺は恋人失格なんだろうかとまた悲しくなる。
「ごめん…俺、翔ちゃんが何を言いたいのか分かんない…」
「ええっ…だから、えっと…」
翔ちゃんはオロオロしながら、ものすごく不安そうに口を開いた。
「……幻滅してない?」
「幻滅?何に?」
首を傾げる俺に、翔ちゃんは観念したように自分を指さした。
「………俺に」
「するわけないよ!!」
そんなのするわけがない!!
びっくりしすぎて思わず叫んでしまった。
俺のあまりの剣幕に翔ちゃんがちょっと引いてる。
でもそんなの構ってられない。
俺が翔ちゃんに幻滅するなんてありえない!!
「むしろ寝てる翔ちゃんが可愛くてキュンキュンしたのに!!」
「俺が可愛いわけ…」
「すっっっごく可愛かったもん!!」
なんなら今だって可愛い。
髪の毛にくしゃっと寝癖がついてるのも。
パジャマ代わりのTシャツがちょっとヨレっとしてるのも。
翔ちゃんはいつだってピシッとしてるから、こういうちょっと隙がある姿が見れると嬉しい。
ギャップに萌えてしまう。
「幻滅どころか、ますます好きになっちゃったのに…なんでそんなこと言うの?」
「だって寝てる時の自分に何一つ自信が持てないから…」
そこまで聞いて、やっと分かった。
翔ちゃんは寝てる姿を俺に見せたくなかったんだ。
だから、先に起きて寝たフリして待ってたかったんだ。
それなのに、俺が予告もなく寝起きドッキリみたいに突撃しちゃったから。
だからあんな反応だったんだね。