第14章 修学旅行
「違うんだよ!本当に嬉しかったんだ!」
俺は泣きたいくらい気持ちが落ち込んでるけど、何故か翔ちゃんも泣きそうな顔になってて。
「本当に本当なんだよ!ただ…」
「ただ?」
あんまり必死に言い募るから、俺の悲しい気持ちはとりあえず横に置いて、先を促してみたら。
「いつかカズに起こしてもらう時には、先に起きて寝たフリして待ってる予定だったからっ…」
「………はい???」
翔ちゃんの言うことは俺には意味不明だった。
起こしてもらうのに先に起きる?
寝たフリして待つ?
何のために???
一気に頭の中がハテナでいっぱいになって、悲しかったのはどこかへ飛んで行ってしまった。
困って智たちに目で助けを求めてみたけど、みんなも翔ちゃんが何を言ってるのか分からないって顔をしてる。
「どういうこと?」
仕方ないから翔ちゃんに説明を求めたけど。
「だって、カズに寝顔を見られたなんて…俺、白目剥いてたり、ヨダレ垂らしたりしてなかった?」
なんで寝顔の確認?
説明どころか、ますます意味が分からないけど。
翔ちゃんが本当に不安そうな顔をしてるから、とりあえずちゃんと否定してあげる。
「してないよ。翔ちゃんは寝顔もすっごくすっごくカッコよかったよ」
「そ、そう?でも俺、寝相悪いし…」
それは…まぁ、うん。
否定は出来ないけど、そんな気にするほどひどいとは思わなかった。
「時々イビキかいたり、歯軋りしてることもあるみたいだし…」
「そうなの?どっちもなかったよ?」
「それなら良かったけど…」
どうしよう…翔ちゃんが何を言いたいのか本気で分からないんだけど。