第14章 修学旅行
「夢じゃないよ!」
半分寝てるのに力強い翔ちゃんの腕の中でもがいて。
「翔ちゃん、起きて!」
「………え?カズ!?」
その胸をペシペシ叩いてたら、突然バチッと翔ちゃんの目が開いた。
びっくりした顔で俺のことを凝視してる。
よかった、今度こそちゃんと目が覚めたみたい。
「おはよ、翔ちゃん♡」
「え?なんで?なんでカズがいるの?俺寝坊した?」
「ううん、してないよ。今日は早起き出来たから起こしに来たの♡」
「夢じゃなかったんだ…」
なんだか混乱してるっぽい翔ちゃんに説明するけど、翔ちゃんはちょっと呆然としてる。
なんでそんな顔するの?
俺は翔ちゃんを起こせて嬉しかったけど、もしかしたら翔ちゃんからしたら迷惑だったんだろうか?
昨日、俺が翔ちゃんを起こしたいって言った時、翔ちゃんも嫌がってる感じじゃなかったと思ったんだけど。
その場のノリで俺に合わせてくれただけだったのかな。
真に受けちゃダメだったのかも…
浮かれてた気持ちがしおしおと萎れていく。
涙が出そうだ。
「……起こしちゃダメだった?」
「そんなわけない!これ以上幸せな目覚め方なんてないよ!」
翔ちゃんは慌てて否定してくれるけど、さっきの反応はどう見ても嬉しそうではなかった。
「ごめんなさい…」
「なんで謝るの?俺は嬉しかったんだよ?」
「うそだよ…翔ちゃん困った顔してるもん…」
嬉しそうだったのは寝惚けてる時だけだったもん。