第14章 修学旅行
「俺は翔ちゃんが好きなだけ。別に悪いことしてるわけじゃないし、誰にも迷惑掛けてないし」
そうキッパリ言い切るニノはカッコよくて。
かと思えば、急に可愛い顔になってモジモジしだして。
「それに、みんなが…その…もちろん雅紀も、分かってくれてるじゃん。俺たちのこと認めて受け入れてくれてる。俺はそれだけでいいんだよ」
ちょっと照れくさそうにそんなこと言うから、俺はなんだか感動してジーンとしてしまった。
今までもニノは周りの目なんて全然気にしてなかったけど、それは翔くんしか見えてないからだと思ってた。
口に出してくれないから、そんな風に思ってくれてたなんて知らなかった。
いつも素直じゃないニノの素直な言葉がすごく嬉しい。
そうだよね。
俺たちのことを何も知らないやつらに、ごちゃごちゃ言われる筋合いなんてないし、俺たちが引け目を感じる必要もないんだ。
無遠慮な視線はとても感じが悪いけど、恥ずべきは俺たちじゃなくて、そんな態度を取る人たちの方だと思う。
俺たちみたいな関係を受け入れられないのは仕方ないかもしれないとは思うけど、だからってそれが人を傷付けていい理由には絶対ならないんだから。
俺もニノを見習って堂々としていよう。
せっかく楽しみにしてた水族館に来たんだもん。
どうでもいい外野なんて無視無視!
楽しまなきゃ損だ!
隣を見れば、風ぽんがいつも通りの優しい笑顔を見せてくれて。
ちょっと重くなりかけていた気持ちがふわりと軽くなった。