第14章 修学旅行
寄ってくる女子がいなくなって、静かになったのはいいんだけど。
代わりに好奇の目で見られるようになっちゃったんだよね。
まぁこのカップルが注目を集めるのは日常茶飯事だし。
ニノも翔くんもいつも通り、お互いしか見えてませんって感じで全く気にした様子はないけど。
でもさ、今日は視線に含まれる悪意が多い気がするんだよ。
同世代の学生が多いからなのかな。
もちろん、みんながみんな否定的な空気な訳じゃない。
全く関心がなさそうな人もいるし、何故かテンション高く喜んでるっぽい女の子たちもいる。
でもやっぱり、嫌悪感を露わにしてたり、面白がったり馬鹿にしてたりするやつらが目立つ。
される側からしたら、大勢に無遠慮な視線を向けられるってだけでもすっごい感じが悪いのにさ。
一緒にいるだけの俺でさえ嫌な気持ちになるんだから、その標的にされてるニノは大丈夫なのかと心配になってきちゃって。
「ニノ、大丈夫?」
「なにが?」
こそっと聞いてみたけど、ニノはキョトンと首を傾げた。
本当に何を心配されているのか分からないって顔だ。
「いや…周りの視線っていうか、空気っていうか…」
「なんだ、そんなの全然大丈夫だよ。こんな二度と会うこともないような人たちにどう思われたって関係ないもん」
何となくしどろもどろになってしまいつつ説明を足したら、ニノはあっさりそう言った。
強がりでも何でもなく本当にどうでもいいって思ってるみたいで、周囲にチラリと向けた目はすごく冷めてた。