第14章 修学旅行
「急ぐよ、ニノ」
「はーい、お母さん」
「もう…」
カズが俺と繋いでるのと反対の手で風間の手を握る。
風間は苦笑しつつも、ちゃんとその手を握り返してあげてて。
うぅ、いつの間にかカズと風間がものすごく仲良くなってる…
バレンタインの辺りから距離が近くなったなーとは思ってたけど。
カズがすごい懐いてるし。
風間にあった変な遠慮みたいなのが完全になくなった。
まぁ、いいことなんだけど。
カズが安心して甘えてるのを見るとモヤモヤしてしまう。
それは風間に限らず、相手が智くんだろうと雅紀だろうと感じるもので。
みんなそれぞれ恋人がいるし、何か間違いが起こるとは思ってないけど。
分かっていても、ヤキモチを妬いてしまう俺は小さい男なんだと思う。
カズと風間の手を視界に入れないように何気なく視線を動かしたら、未だにスヤスヤ寝ている潤が視界に入った。
あ、忘れてた…
「潤を起こさなきゃな」
「それは智に任せればいいんじゃない?」
「えー…」
それまで仏のように穏やかに微笑みながら俺たちのやり取りを見ていた智くんだけど、カズに名指しされたら途端に面倒くさそうな顔になった。
まぁ、これだけうるさくても起きない潤を起こすのは、どう考えても大変だもんな。
でもカズはそうは思わないらしい。
「なんでそんな顔するの?」
智くんの反応に、不思議そうにキョトンと首を傾げてる。
「俺なら翔ちゃん起こせるの嬉しいよ?むしろ起こしたい!あーあ…今日、頑張ってもっと早起きすれば良かったなぁ…」
本当に残念そうなカズに胸がキュンとする。
なんて可愛いことを言ってくれるんだ!