第14章 修学旅行
「寝癖も可愛いよ♡」
「翔ちゃん♡」
ぴょこんと跳ねた髪の毛も可愛いし。
それくらい早く俺に会いたかった証だと思うと愛おしい。
嬉しそうにはにかんで笑うカズが可愛すぎて、俺ならなんでも許してしまいそうだけど。
そんな笑顔も風間には通用しないらしい。
「ずっとそのままって訳にはいかないでしょ!もうすぐご飯の時間だし、早く着替えて寝癖も直すよ!」
「うぅ…お母さんが厳しい…」
「お母さん?」
「そう!風間もお母さんみたいなんだよ!昨日の夜もね…」
気になる単語をつい聞き返しちゃったら、カズはすぐに説明しようとしてくれたけど。
「お喋りは後で!とにかく部屋に戻るよ!」
ばっさり話を遮った風間が、ぐいっとカズの腕を引っ張った。
「やだー!翔ちゃーん!」
でもカズは抗うように俺に強くしがみいて離れない。
全く動こうとしないカズに、風間はまたため息を吐いて俺を見た。
「ごめん、翔くん…もう準備終わってたらついてきてもらっていいかな?ニノ1人じゃ動いてくれなさそうだからさ…」
「それはもちろん!」
何故か風間が申し訳なさそうに俺に手を合わせるけど、駄々を捏ねて困らせてるのはカズだから、むしろ謝るのは俺の方なんじゃないかと思う。
それに、こんな可愛いパジャマ姿ならいつまででも見ていたいけれど。
風間の言う通り時間もなくなってきてるし。
何よりも、こんな可愛い姿をうっかり他の野郎どもに見られでもしたら大変だ!
「カズ、行こうか」
「うん♡」
カズに声を掛けたら今度は素直に頷いて。
パッと体を離すと、すぐに俺の手を握った。
ああ、可愛い…!!