第14章 修学旅行
-Sside-
「おっはよー!」
雅紀の元気な声とカーテンを勢いよく開く音で目が覚めた。
薄暗かった部屋が一気に明るくなって、その眩しさに一度開いた目を閉じそうになる。
「…おはよう、雅紀」
「おはよ、翔くん!今日も良い天気だよー!」
のそのそと起き上がると、爽やかな笑顔がこっちを向いた。
うーんと伸びをしながら窓の外を見れば、雅紀の言う通り青空が広がっている。
修学旅行2日目。
今日も天気に恵まれたようだ。
「こっちは梅雨が明けてて良かったな」
「本当にね!これなら海も気持ち良いだろうね!」
今日は午前中にマリンアクティビティの予定だけど、今日も暑くなりそうだし、確かに気持ち良さそうだ。
「なんかお腹空いてきちゃった!朝ごはん何だろ?」
「確かバイキングじゃなかったかな」
寝起きも良く、朝から元気な雅紀。
対照的に朝に弱い潤はまだベッドの中だ。
こんだけ明るくて、うるさく喋ってても、全く目が覚める気配がない。
「潤!じゅーん!朝だよー!」
雅紀が声を掛けながら潤を揺さぶるけど、うるさそうに眉を顰めるだけ。
中学の修学旅行の時も朝起こすのが本当に大変だったんだけど、相変わらずみたいだ。
「雅紀、先に着替えよう。潤を起こすのは大仕事だから」
「そうみたいだね」
苦笑する雅紀と交代で洗面所を使って、さっさと身支度を整えていく。
ちょうど着替え終わったタイミングで控えめにドアがノックされた。
インターホンを鳴らさないのは、もしまだ寝てたら…っていう配慮かな。
ノックの主に心当たりがありまくるから、控えめなその音さえ愛おしい。
「はーい」
頬が緩むのを抑えきれず、ダッシュでドアを開ければ
「おはよ、翔ちゃん♡」
そこには予想通り、俺の天使が立っていた。