第14章 修学旅行
髪を乾かして、歯も磨いて。
寝る準備は万端。
「もう寝ていいよ?」
風間母さんのOKも出たのに、ニノはふるふると首を振った。
「目覚めちゃったから、ちょっとお喋りしよ♡」
「お喋り?」
「うん♡」
その目がキラリと光った気がして、なんだか嫌な予感がしたんだけど。
「ねぇねぇ、風間は雅紀のどこが好きなの?」
「へ?」
「告白の言葉は?なんて言われたの?」
「え?え?」
ニノのターゲットは風間だったようだ。
俺じゃなくて良かったとこっそり胸を撫で下ろす。
ってか、これ…
お喋りじゃなくてほぼ尋問じゃね?
ニノはめちゃくちゃ楽しそうだけど、質問攻めにされてる風間は気の毒だ。
でも下手に口を挟んで矛先がこっち向いたら困るから黙ってる。
ごめん、風間!
「誕生日には何かもらった?デートはしたの?」
「え、え、えーと…」
風間は真っ赤になって狼狽えてたけど、ニノがニマニマしてるのに気付くと怒り出した。
「ちょっと!からかって遊んでるでしょ!」
「からかってなんかないよ!俺は純粋に聞きたいだけだもん。恋バナしよーよ♡」
「やだよ!」
「なんでー?智も聞きたいよねぇ?」
なるべく気配を消してたんだけど、突然ニノがくるっとこちらを向いて同意を求めてきた。
あー…俺を巻き込まないで欲しいんだけどな…
まぁ3人部屋だから全く関わらないとか無理か。
でもなぁ…
ニノの機嫌を損ねたくはないけど、下手なこと言って風間に恨まれるのもイヤだよなぁ。