第13章 誕生祝い to Nino * 3rd
「ミッキーって言っても色々あるね?」
「どれにする?」
「シンプルなのがいいな」
ニノと風間とワゴンを覗き込んで。
3人であーでもないこーでもないって言いながら選んでたら
「カズ、決まった?」
翔くんもひょいっと加わってきた。
「翔ちゃん♡これどう?」
「いいね!すっごくすっごくすっっっごく可愛いよ!」
候補の1つのカチューシャをニノがつけて見せると、翔くんの顔がデレっと溶けたけど。
まぁ、仕方ないよね。
シンプルめなミッキーの耳なんだけど、ニノによく似合ってて本当にすごく可愛いもん。
「本当?じゃあこれにしよ♡」
褒められてご機嫌なニノによって、今日つけるカチューシャは決まったようだ。
これなら俺でもそこまで抵抗なくつけられる。
ぬいぐるみを頭に乗せることにならずに済んで本当に良かった!
「風ぽんのは俺が買ってあげるね♡」
当然のように翔くんがお会計するのを見て、雅紀が風間の手からひょいっとカチューシャを取り上げた。
「えっ!いいよいいよ!自分で買うから…」
「いいから買わせて?プレゼントってことで!ね?」
「でも…」
「いいからいいから!」
ワタワタしながらもちょっと嬉しそうな風間が微笑ましい。
2組のやり取りに気を取られていたら
「智のは俺が買ってやるよ」
「わっ!」
いつの間にか俺の隣には潤がいて。
心臓に悪いから気配を消すのやめてほしい。
「ほら、貸して」
「え?ちょっと…俺は誕生日でもなんでもないんだけど…」
潤も強引にカチューシャを奪って行くけど、俺には買ってもらう理由がない。
だから取り返そうとするんだけど、潤は返してくれない。
「俺がプレゼントしたいんだよ」
「なんで?」
「彼氏だから」
さらりと言われた “彼氏” っていう単語に顔がカーッと赤くなる。
そんな俺を見てニヤリと笑った顔は悔しいくらいカッコよくて。
ちょっと見惚れちゃってる間に潤は会計を済ませてしまってた。