第13章 誕生祝い to Nino * 3rd
「ねぇ、もういい?お腹空いたんだけど!」
翔とニノのイチャイチャを黙って見ていた雅紀が、落ち着いたタイミングを見計らって声を掛ける。
そう、今は昼休み。
ここは学食。
バカップルは場所も人目も全く気にせずイチャついてるわけだけど。
もう周りも特別騒いだりはしない。
チラチラ視線は感じるものの、大半はいつものことだとスルーしてる。
みんな慣れたもんだよ。
俺たちだって、いつもならこんなの放っておいてとっくに食べちゃってるんだけど。
今日はニノと風間の誕生日だから、ささやかに乾杯くらいしようと待ってたんだ。
ただ、声を掛けたのが雅紀だったのがよろしくなかった。
「勝手に食べればいいじゃん」
「誕生日だから待ってたんだろ!」
「別に頼んでないし」
「おまえなぁ…!」
雅紀相手にニノが素直になれるわけがなく。
可愛くないことを言うもんだから、あっという間にいつもの口喧嘩が始まりかけたけど。
「はいはい、誕生日までケンカしないの」
「早く食べないと昼休み終わっちゃうよ」
「むぅ…」
智と風間が取りなしてなんとか落ち着かせる。
「ほら、コップ持って」
これ以上グダグダしないようにと、用意してたジュースをニノの手に押し付けて。
他のみんなも各々コップを手にしたのを確認して。
特に決めてなかったけど、もう俺が仕切ってしまうことにする。
「ニノ!風間!誕生日おめでとう!」
「「「おめでとう!!」」」
コップをぶつけ合っていたら、俺たちの祝う声が聞こえたのか、周りに居合わせたやつらからも拍手やお祝いの声が飛んできて。
思いがけず盛大に祝われた2人は顔を見合わせて、嬉しそうにはにかんだ。