第2章 誕生祝い to Nino
「カズ…ごめん…」
それは何に対してのごめんなの?
俺は何を謝られてるの?
……もしかして、これから別れ話されるの?
胸がぐっと詰まって、うまく息が出来ない。
「ごめん、ごめん…本当にごめんね…」
でも謝り続ける翔ちゃんの声も震えてて苦しそうで。
翔ちゃんは今どんな顔してるんだろうって気になって。
そっと布団から目だけを出してみて驚いた。
だって翔ちゃんがドアの前で土下座をしてたから。
「翔ちゃんっ……!!」
慌てて布団を跳ね除けて、ベッドから飛び降りて。
そのまま翔ちゃんに駆け寄って肩に手を掛けた。
「やだ!顔あげて!そんなことしないで!」
ゆっくりと顔を上げた翔ちゃんは、俺の顔をじっと見つめて。
辛そうに顔を歪めながら、俺をそっと抱き寄せた。
「カズが好きだよ…カズだけが大好きだよ…心変わりなんて絶対しない…俺にはカズだけだから…信じて…」
「翔ちゃん…」
優しく抱きしめてくれる腕にも、全ての想いを込めてくれているような震える声にも、どこにも嘘は感じられなくて。
止まってたはずの涙がまた溢れてきた。
「泣かせてごめん…不安にさせてごめん…でもカズが好きだよ、大好きだよ…」
「しょ…ちゃ……」
翔ちゃんのぬくもりに、優しい声に。
今まで溜め込んでいた感情が一気に溢れだしてきて。
翔ちゃんにしがみついて、子どもみたいにわんわん泣いた。
泣いてるうちに何に対して泣いているのか分からなくなってきたけど、それでも涙は止まらなくて。
そんな俺を翔ちゃんはしっかり抱きしめて。
俺が泣き止むまで何度も何度も“ごめん”と“大好き”を伝えてくれた。
嘘のない言葉はすーっと俺の中に染み込んでいって、不安でガチガチに固まっていた俺の心をゆっくり溶かしてくれた。