第12章 雨の日は
-Sside-
朝、起きて一番にカーテンを開けて。
雨が降ってるのを確認して思わずガッツポーズをしてしまった。
昨夜の天気予報で今日は雨だと言っていたけど、あくまで予報だから当たるとは限らないし。
でも今日は雨だ!
どうしたってウキウキしてしまう気持ちを隠せない。
雨だろうと、朝のルーティンは変わらない。
家でやることも、電車の時間も、通学路も。
でも雨の日は、いつもの公園を通り過ぎて真っ直ぐカズの家に向かう。
その扉が開くのを待つ時間もすごく幸せだ。
ドアを開けた瞬間、カズが本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれることを知っているから。
最初はなんてことないことだった。
確か急に雨が降ってきた日。
カズが傘を持ってなくて。
俺は基本的に折りたたみ傘を常備してるから、問題なくカズを家まで送って行けた。
初めて一緒にディズニーランドに行った時もこうやって相合い傘をしたね、とか。
あの時は心臓が壊れちゃいそうなくらいドキドキしてたんだよ、とか。
そんな思い出話をしながら帰ったんだっけ。
楽しく幸せな時間だったけど、特別なことがあったわけじゃない。
本当に何気ない、日常の一コマだった。