第11章 新年度 3年生
さんざんイチャついてから、翔がニノから体を少し離してその顔を覗き込んだ。
「俺を信じてくれる?」
「うん♡」
ニノに笑顔が戻ったのを確認すると、今度は翔が心配そうな顔になる。
「それよりさ…」
「ん?」
「カズは大丈夫だった?新入生に声掛けられたり告白されたりしなかった?」
「へ?」
翔の質問にニノはキョトンと目を丸くした。
「こんな可愛いカズに受付で微笑まれたら、みんなカズのこと好きになっちゃうよ!名前聞かれたり、写真撮られたりしてない?」
「してないよ!そんなことあるわけないじゃん」
翔はさっきのニノ同様本気で心配しているが、ニノには伝わらない。
冗談だと思ったのかケラケラ笑ってるけど。
おい!笑いごとじゃないからな!
翔は事前に俺たちに頼むくらい心配してたんだぞ?
それに、実際 “そんなこと” になりかけてたからな!
何にもなかったのは俺の功績だっつーの!
今後のためにも、もうちょい自覚してくれ!
ついでに智も一緒に!頼むから!
ニノ相手じゃ求める答えが聞けないと思ったのか翔が確認するように俺を見るから、とりあえず大丈夫だと目配せしておいた。
詳細は後で教えるけど。
俺は自分の好感度を犠牲にしても、ちゃんと俺の仕事をしたからな。そこは安心してくれ!