第11章 新年度 3年生
「翔ちゃんっ!!」
式が無事に終わり、翔と合流出来たニノはタックルするみたいな勢いで翔に飛びついて。
離れていた分を取り戻そうとするかのように、これでもかってくらいベッタリ引っ付いた。
離れてたのがよっぽど寂しかったんだな。
ほんの数時間だけどな。
一瞬でデレっとした翔が頭をぽんぽんと撫でると、ニノはそれはそれは嬉しそうに笑った。
「翔ちゃん、お疲れさまでした♡とってもカッコよかったよー♡惚れ直しちゃった♡」
「ありがとう、カズ」
ニノに甘えられべた褒めされた翔は、ついさっきまでキリリとした顔で壇上にいた人物とは別人のようにデレデレと笑み崩れる。
「でも…」
ニノもニコニコしていたのに、ふと表情を曇らせた。
「ほんとにカッコよかったから、新入生みんな翔ちゃんのこと好きになっちゃったかも…」
シュンとしているニノには悪いが、否定は出来ない。
さすがに新入生全員はないだろ…とは思うけど。
ニノにかっこいい所を見せるために無駄にキラキラしてたし、今日の姿を見て翔に憧れるやつは少なからずいるだろうな。
元々ファンも多いし。
「可愛い新入生に翔ちゃん取られちゃったらどうしよう…」
でもこの心配は完全なる杞憂。
するだけ無駄なやつ。
涙目になってるニノは本気で心配してるんだろうけど。
それこそ、絶対に有り得ない!
地球が逆回転するより有り得ない!
「そんなことあるわけないよ。俺には宇宙一可愛いカズがいるのに」
翔は真顔で否定すると、優しくニノを抱き締めて。
「カズより可愛い子なんてどこにもいないし、カズ以外を好きになるなんて絶対ないよ。だから安心して?」
言い聞かせるように、何度も“カズだけが大好きだよ”と伝えている。
あー、もう!
見てるこっちがむず痒くなるわ!
だから、こんな心配するだけ無駄だって言ったんだ!