第11章 新年度 3年生
受付に来る新入生もポツリポツリになって、やがて完全に途絶えた。
さっきまであんなに騒がしかった玄関前も今は誰もいない。
そりゃそうか、もう入学式が始まる時間だもんな。
受付の仕事はもう終わったも同然だが、もしかしたら遅れてくるやつがいるかもしれないから、まだしばらくはここに居た方がいいだろう。
でもニノはソワソワと落ち着きがなくて。
翔の会長挨拶が見たいんだよな…
分かりやすい可愛い理由に小さく笑ってしまう。
もうここに3人は必要ないだろうから、ニノだけ行かせてやるか。
…いや、やっぱりニノを1人にするのは不安だから、智と2人で行かせよう。
今日は登校している生徒も少ないし、危険なことなんて何もないとは思うけど。
用心はしておいた方がいいだろう。
俺もだいぶ翔に影響されてんなと思うけど。
実際に今までニノを1人にした時に限って何かしらが起こってるから何となく不安になるんだよ。
ここには俺1人いれば十分だから2人で式を見に行っていいぞ…と、口を開きかけた時
「ニノ!智!潤!」
「お疲れさま!」
雅紀と風間がひょこっとやって来た。
「お疲れー」
「仕事は?」
「俺たちは案内と誘導だったから、もうやること終わったよ」
「そっか」
あっけらかんと終わったと言う雅紀を、ニノがじとっと羨ましそうに睨む。
完全に八つ当たりだけど雅紀は全く気にせず、睨みつけるニノに笑顔を向けた。