第11章 新年度 3年生
生徒会長である翔は、入学式に出席して歓迎の挨拶をしなければならず、今日は朝から忙しそうにバタバタしていて。
ニノもニノで受付の仕事があるから、ずっと別行動。だからニノの機嫌が悪いんだけど。
本当はニノを人目に付くところに出したくないと翔は散々ごねたようだが、生徒会に所属している以上何もさせない訳にもいかなかったみたいで。
それならば、せめてニノを1人にしないようにと思っても、翔はおろか、他の生徒会メンバーもそれぞれに仕事があってずっとニノに貼り付いていることが出来ず。
…まぁ、翔は直属の後輩たちですらも若干疑ってるみたいだから、例え手が空いていてもニノを任せたかは微妙だけど。
で、結局俺たちに白羽の矢が立ったと。
人手が足りないからというのはあくまで表向きの理由で…いや実際足りてないし本当に仕事もさせられてるけど。
要は俺たちはニノの護衛というか虫除けというか…ニノを1人にしたくないと言う心配性で過保護な翔に頼み込まれてここにいるわけだ。
中等部でも翔とニノは有名だろうから、ニノに手を出す勇気のあるやつはそういないとは思うんだけどな。
翔がカズを守ってくれと頭を下げたら、智は二つ返事で引き受けてしまって。
そしたら俺も引き受けるしかないだろう。
だっていくら智が本当は強くったって、見た目はニノに負けず劣らず可愛らしいんだ。
ニノと並んでいたら可愛さも倍増。
ますます変なやつを引き寄せかねない。
現に、智もニノ同様何人もの新入生を惑わせまくっていて。
いや、マジで自覚してくれ。
俺の胃がキリキリするから。
2人の隣でずっと睨みをきかせていたから、とりあえず変なことをしでかすやつはいなかったけど。
新入生の俺に対する印象は最悪だと思うぞ。