第2章 誕生祝い to Nino
まさか潤くんとまで会うなんて思ってなかったからびっくりしたけど。
これから智とデートだという潤くんと話しているうちに、少しだけ気持ちが落ち着いてきた。
でも、翔ちゃんと智が会っていたことを潤くんは知っていたと聞いて、再び目の前が暗くなる。
しかも潤くんの様子からして、2人は毎週会ってたっぽい。
潤くんに伝えてるってことは智にはやましい気持ちは一切ないんだろう。
でも…じゃあ、翔ちゃんは?
俺に伝えるどころか、嘘までついて智と会ってたんだよ?
それって…
それってさ…
考えたくないことが頭をよぎる。
胸がぎゅっと締め付けられて、はずみで我慢してた涙がぽろりとこぼれ落ちた。
一度溢れた涙は止まらなくて。
心配そうな顔をしていた潤くんには悪いけど、走ってその場から逃げてしまった。
こんなの知りたくなかった…
買い物になんて行かなきゃ良かった…
後悔してももう遅い。
もう見なかったことには出来ない。
息も絶え絶えになりながら家に帰ると、買ってきたものを廊下に投げ捨てて、自分の部屋に飛び込んだ。
翔ちゃんは優しいから本当のことを言えなかったの?
翔ちゃんのことを想うなら、俺からバイバイしなきゃダメなのかな?
そんなこと、したくないよ…翔ちゃん…
涙は全然止まってくれなくて。
布団を頭からかぶって、1人声を殺して泣いた。