第11章 新年度 3年生
「ちょっと!イチャついてないでちゃんと仕事してよね!」
智の可愛い笑顔に癒されていたら突然ニノに怒られた。
智の横からキッとこちらを睨んでる。
「別にイチャついてなんかないだろ」
確かにちょっと見惚れてはいたけど。
こんなのイチャついてるうちに入らないだろう。
「イチャついてたもん!」
「は?」
「じーっと見つめ合って、ハートまき散らしてさ!」
でも否定してもニノは納得いかないみたいでプリプリ怒ってる。
子犬がキャンキャン吠えてるみたいで全然怖くないけど。
「お前らじゃあるまいし、そんなことしてないっつーの」
反論は一応しつつ。
まぁ、何でニノがこんなに突っかかってくるのか理由は分かってんだよ。
「自分が翔と一緒にいられないからって八つ当たりすんなよな」
図星を突かれたニノはむぅっと膨れた。
今日は入学式。
始業式は明日。
本来なら2、3年生は今日は休みだ。
今日来てるのは生徒会と吹奏楽部のやつらくらいだろう。
じゃあ何で俺たちまでここにいるかと言えば、人手が足りないからと翔に頼まれ手伝いに来たのだ。
ニノの言う仕事って言うのは入学式の手伝いのこと。
ここには居ないが、雅紀と風間も駆り出されている。
ちなみに俺たち3人は受付。
さっきまで慌ただしかったけれど、ピークは過ぎたのか、今は人が途切れているから仕事しろって言われても特にすることがない。