第11章 新年度 3年生
-Mside-
4月に入り、今日は高校の入学式。
残念ながら少し前に桜は全て散ってしまったけれど、そんなの全く気にした様子もなく、わいわい楽しそうに騒いでいるのは今年の新入生たち。
まぁ、俺もそうだったけど。
大半は下からの持ち上がりだから、特に緊張している様子もなく。
それぞれ仲の良い友だちとギャーギャー言いながら、玄関前に貼り出されたクラス表に群がっている。
そんな中に、ぽつりぽつりと居心地悪そうに混ざっているのは外部生たちだろう。
目の前の光景を微笑ましく眺めながら、思い出すのは自分たちの時のこと。
ちょうど2年前の今日。
智たちに出会ったんだよな。
あの時の俺は翔に片想いしていて。
その翔は、入学式にニノに一目惚れした。
あの日…あの瞬間から、中学と何も変わらないんじゃないかと思っていた俺の学校生活は激変して。
この2年の間に色々…本当に色んなことがあったけれど。
翔の恋は実り、晴れてニノと付き合いだし。
あの日ニノの隣にいた智が今は俺の恋人だ。
まさかこんな未来が待っているなんて、2年前には想像もしていなかった。
今日も隣にいる智にちらりと視線を向ければすぐに気付いて、何?と小首を傾げる。
そんなさり気ない仕草も可愛くて、愛しいな…としみじみと思う。
特に用があった訳でもないからニッコリ笑いかけてみたら、首を傾げながらも笑顔を返してくれて。
あの日想像も出来なかった未来は、こんなにも幸せだ。