第10章 ホワイトデー
「もうなくなっちゃってたから嬉しい♡」
喜んでもらえて俺も嬉しいし。
ありがとうと笑うカズはめちゃくちゃ可愛いけれど。
今のはちょっと聞き流せない。
だってカズが金平糖を食べるのは元気がない時や悲しい時なはずだから。
それがもうないって…
も、もしかして…俺はまた気付かないうちに何かしてしまっていたんだろうか…?
カズの誕生日に派手にやらかしてから、今まで以上に気を付けていたつもりだけど…
「そ、そんなに金平糖が必要なこと、あった、の?」
もしカズを傷付けていたり、1人で泣かせていたらどうしよう…
オロオロと動揺を隠せない俺に、カズはううんと首を振ると恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「あのね…俺、翔ちゃんに会いたいのに会えなくてさみしい時にも食べてたの///」
「え?」
「俺すぐに翔ちゃんに会いたくなっちゃうから…だからすぐなくなっちゃって…///」
「………っ!!」
……か、か、可愛いーーー!!!!!
きゅううううん!と心臓が音を立てたのが、みんなにも聞こえたんじゃないかと思うくらい胸がときめいた。
何それ?何それ!?
そんなに俺に会いたいと思ってくれてたの?
毎日会ってるのに。
会わない日なんてほぼないのに。
それでもまだ俺に会いたいって思ってくれてるなんて…
「カズっ!!」
「わっ…///」
愛しさが溢れて堪えきれなくて。
目の前の可愛い恋人をぎゅっと抱き締めた。