第9章 バレンタイン
-Mside-
「ハッピーバレンタイン♡」
せっかく3人で作ったから、みんなの反応をちゃんと見たいとニノが駄々を捏ねて。
朝からソワソワしてたのに、結局チョコがもらえたのは昼休み。
全員が昼食を食べ終えたタイミングだった。
「はい、潤」
ちょっと照れたように手渡してくれる智はめちゃくちゃ可愛くて。
もらえると分かっていたけど、実際もらえると思っていた以上に嬉しい。
「ありがとう、智。すげー、うまそう!」
「ふふ、本当に美味しいよ」
「自信満々じゃん」
「昨日味見したからね」
智がくれたチョコは2種類。
ケーキ…ブラウニーか?と、ナッツやドライフルーツが乗ったチョコレート。
どちらも美味そうだし、ラッピングも凝ってる。
でも…あれ?
密かに楽しみにしていたのがあったんだけど、それらしきものが見当たらない。
結局作らなかったのか?
それともこのどちらかがそうなのか?
めちゃくちゃ気になるけど、でもわざわざ確認するのも何かなぁ…
表面上は和やかに智と会話を続けながら、内心悩んでいたら。
「ありがとう、風ぽん!本当に本当に本当に嬉しいよ!」
「喜んでもらえて良かった」
「こんな嬉しいバレンタインは初めてだよ!ところでさ…」
隣でテンション高く喜んでいた雅紀が、ふと首を捻って。
「“あーんしやすいチョコ”っていうのはどれ?」
まさに俺が考えていたことズバリを口にするからびっくりした。
一瞬俺の心の声が漏れたのかと思ったぜ。
いやぁ、雅紀も同じこと考えてたんだな。