第2章 誕生祝い to Nino
後を追おうとして思いとどまる。
追い掛けるべきなのは俺じゃなくて翔だ。
大急ぎで翔たちの元へ戻る。
「お前らニノに見られてたぞ!」
「は…?え…?」
焦って半ば怒鳴るようにして伝えると、2人ともうまく理解出来なかったのか目を白黒させていたが
「そこにニノがいたんだ!2人のことをずっと見てた!」
「ええええっ!!」
さっきまでニノがいた辺りを指差すと、途端にオロオロしだした。
「嘘もバレてる!全然誤魔化せてなんかなかったぞ!それどころか翔が智に心変わりしたって思い込んでる!」
「はぁ?そんなことあるわけないだろ!!」
翔は呆然と聞いていたが、最後の部分にピクリと反応すると食ってかかってきた。
「俺じゃなくてニノに言え!泣いてたぞ!」
「え…泣いてた…?」
負けずに言い返したら、さっと青ざめたけれど
「もうサプライズとか言ってる場合じゃないぞ!今すぐ追い掛けて誤解を解いてこい!!」
俺が最後まで言い終わる前に、翔は走り出していた。
その姿に少し安心する。
早くニノの誤解を解いてやってくれ…
ものすごいスピードで遠ざかって行く背中を見送っていたら、シャツの裾をぎゅっと掴まれた。
「潤…」
見たら智まで泣きそうになっている。
きっとニノが泣いていたと聞いて責任を感じてしまっているんだろう。
「大丈夫。翔がちゃんと説明すれば、誤解なんてすぐ解けるから」
智の瞳がうるうると揺れている。
本当は智だって今すぐニノのところへ行きたいはずだ。
それでも今は翔に任せた方がいいって、智も分かってるんだ。
「翔を信じようぜ?」
ぽんぽんと頭を撫でたら、智はコクリと小さく頷いた。