第9章 バレンタイン
「あはは!本当に翔くんて面白いよね!」
「えっ!?俺、声に出してた?」
「出てた出てた!ニノへの愛が溢れまくってたよ」
ケラケラ雅紀に笑われて、翔がびっくりしてる。
無意識だったのかよ…
こっちがびっくりするわ…
「でもさ、3人でキャッキャしてるのほんと可愛いよね!」
「ああ!めちゃくちゃ可愛い!」
「それは否定しない」
可愛い可愛いと言いながら、それぞれの視線は自分の恋人に向けられていて。
俺にとっては智が一番可愛い。
当たり前だ。
翔も雅紀も自分の恋人が一番だって思ってるに決まってる。
突然ニノが「今年のバレンタインは智にあげちゃダメだからね!」とか言い出した時は、今度は一体何する気なんだと若干警戒したけど。
「何作ってくれるんだろうね?」
「楽しみだよな!」
ワクワクしてる翔や雅紀に負けないくらい、今では俺もかなり楽しみにしている。
バレンタインにチョコなんて、今まで数え切れないくらい貰ったことがあるけど。
好きな人から貰うのは初めてなんだよ。
ワクワクして、ちょっとソワソワもして。
その日が来るのを指折り数えて待って。
バレンタインがこんなに楽しいイベントだとは思ってなかった。
教えてくれたニノに、感謝しなきゃかもしれないな。