第9章 バレンタイン
-Mside-
「ねぇねぇ、これは?」
「わ♡可愛い♡」
「俺、初心者だから出来たら簡単なのがいいんだけど…」
「じゃあこれとか?」
「え?これ難しくないの?」
「凝って見えるけど作り方は簡単みたいだよ」
「へぇ…いいかも!」
最近、暇さえあればチョコレートレシピを調べて、キャッキャと盛り上がってる3人。
楽しそうだなーと覗き込もうとしたら
「何を作るかは内緒だから見ちゃダメ!楽しみにしてて!」
と怒られて追い払われ…
でも近くにいるもんだから会話は丸聞こえ。
「あ、これは “あーん” しやすそう♡」
「ええっ///」
「そんなことしないし…///」
「え?バレンタインだよ?何でしないの?」
「なんでって…///」
“あーん” しやすいチョコってなんだ?!
中途半端に情報が入ってくるから、余計気になるんだけど!
隠す気があるんだかないんだか…
サプライズにしたいなら、もっと隠せよな!
でもまぁ、智が楽しそうだし。
可愛い姿が見れるからいいか…と思ってしまうあたり、俺も翔並に甘いのかもしれない。
「カズは今日も可愛いなぁ…俺のためにあんなに一生懸命考えてくれてるとか愛しすぎる…」
その翔は、さっきからずっとニノを見つめながらブツブツ独り言を言ってて。
…いや、これと同レベルはやっぱり嫌だな。
心の声がダダ漏れ過ぎだろ。
もうちょい胸の内に秘めといてくれ!