第9章 バレンタイン
「何その顔?やなの?」
風間の反応もお気に召さなかったらしいニノがじろりと睨むと、風間はワタワタと手を振った。
「いやっ…でも…俺もいいの?」
「当たり前じゃん!風間も一緒に作ろうよ♡いいでしょ?」
「う、うん…」
「きーまり♡」
明らかに戸惑ってる風間を強引に押し切って、どうやら3人でお菓子を作ることは確定したらしい。
俺、まだうんって言ってないけど…
いや、まぁ断る気はないからいいんだけどね。
「潤くんには今年は智から贈るから、潤くんは何も作らないでねってお願いしといたからね♡」
「え、いつの間に…」
潤には既に手回し済みなのか…
「楽しみにしてると思うよー♡ね?潤くん?」
「ああ…」
同意を求められた潤も苦笑いだ。
「じゃあ、そういうことで!作りたいもの考えといてね♡」
ニノはひとまず満足したのか、さくっと会話を切り上げると翔くんに飛びついた。
「翔ちゃんも楽しみにしててー♡」
「当たり前だよ!今から楽しみ過ぎて眠れない!」
「ちゃんと寝なきゃ倒れちゃうからダメー♡」
一瞬でイチャイチャ出来るのは本当にすごいと思う。
ニノと入れ違うみたいに、苦笑したままの潤が近付いてきた。
「ニノは相変わらずだな」
「楽しそうで何よりだよね」
「まぁでも、前にもらったクッキーも美味かったし。今回も楽しみにしてるよ」
ぽんぽんと頭を撫でられてポッと頬が赤くなる。
潤が本当に楽しみにしてくれるなら頑張ろう…なんて、急にやる気が出てくる俺って単純だ。