第8章 誕生祝い to Sho
片付けが終わったら、2人並んでソファに腰を下ろした。
しばらく他愛もない話をしていたけれど、カズは何だかソワソワしていて落ち着かない。
これは、もしかしたらアレかな?
プレゼントを渡すタイミングをはかっているのかな?
そうだとしたら早く緊張から解放してあげたいけど、でも下手なこと言うと催促してるみたいに聞こえるかもしれないしなぁ…
それに大きな声じゃ言えないけど、緊張してるのに何でもない風を装ってるカズが可愛くて。
意地悪だけどもうちょっと見ていたい気もする。
だから俺からは何も言わずに様子を見ていたら、会話が途切れたタイミングでカズが大きく深呼吸をして。
シャキッと背筋を伸ばして俺を見た。
……きた!
俺もシャンと姿勢を正す。
「翔ちゃん、プレゼントを渡していいですか?」
「はい、お願いします」
まっすぐ俺を見つめるカズは緊張からか何故か敬語で。
つられて俺まで敬語になってしまった。
緊張がうつったみたいだ。
プレゼントの内容を知っていてもドキドキする。
「これ…」
いつの間に用意したのか、カズの手には1つの指輪。
いよいよだと思ったけど、よく見ると不格好なそれには見覚えがあった。
俺が作った指輪?いや、それともこれがカズが作ってくれたものなのか?
状況的にはカズが作ってくれた指輪なはずだけど…
でも、どう見ても俺が作ったものに見える。
さんざん苦労して作ったから分かるんだよ。
怪訝な顔になってしまう俺を気にせず、カズは差し出した指輪を見てにっこり笑った。
「これは俺の宝物」
やっぱりそうか。
カズが本当に愛おしそうに指輪を見つめているから俺も嬉しくなるけど。
なんでこのタイミングで俺の作った指輪が出て来たのかが分からない。
カズが作った指輪をくれるんじゃないの?
カズの意図が読めなくて頭の中は?マークでいっぱいだ。