第8章 誕生祝い to Sho
「美味しかった!ごちそうさまでした!」
「お粗末さまでした」
ぱちんと手を合わせて頭を下げたら、カズも一緒にぺこりと頭を下げた。
ここが自分の家なら、床に大の字で転がってしまいたいくらい腹いっぱいだ。
さすがにカズの前でそんな行儀悪いことは出来ないから、椅子の背もたれに寄りかかる。
これも行儀悪いかもしれないけど、寝転ぶよりはマシだろう。
「あー、幸せだー」
ちょっとダラケた姿勢でパンパンに膨れた腹をさする。
ここに詰まってるのはカズの愛だと思うと、幸せで顔がにやけてしまう。
でも空になった皿を嬉しそうに眺めていたカズは、腹をさする俺に気付くと心配そうに顔を曇らせた。
「お腹苦しいの?大丈夫?俺、食べさせ過ぎちゃった?」
「そんなことないよ!全然大丈夫!」
シュンと落ち込むカズに慌てて否定するけど。
「…でも、お腹いっぱいだよね?」
「それは…うん…」
満腹なのは事実だから、そこは嘘はつけない。
そういえば、お腹に余裕残しておいてねって言われてたのに、結局満腹になるまで食べてしまった。
でも仕方ないよな…
だって、食べさせ合いっこは幸せすぎて、途中でやめるなんて考えもしなかったし。
もし1人で食べていたとしても、カズの手料理を残すなんて出来るわけがない。
それでもカズのお願いを聞けなかったことは申し訳ない。
「ごめん」
「そんなの謝ることじゃないよ。俺はたくさん食べてもらえて嬉しいし…翔ちゃんが苦しくないならいいの」
素直に謝ったら、カズは首を振ってニコッと笑ってくれた。