第8章 誕生祝い to Sho
オムライスが最後だったみたいで、カズがエプロンをはずして隣に座った。
向かいじゃなくて隣だよ!
こういう時って普通は向かい合って座るのかもしれないけど、テーブルを挟まない分、距離が近い隣合わせの方が俺は好きで。
カズが当然のように隣に座ってくれたことが嬉しい。
「待たせちゃってごめんね」
「そんな!全然待ってないよ!」
本当に全く待ってない。
むしろこの短時間でこんなにたくさんの料理が出てきたことに驚いてる。
でもそれは、カズがすぐ食べられるようにと準備してくれてたってことで。
そんな気遣いにも愛を感じてやっぱり感動してしまう。
「はい、翔ちゃん」
カズがジュースの入ったコップを渡してくれて。
「翔ちゃん、お誕生日おめでとう♡」
「ありがとう!」
2つのコップをカチンとぶつけて乾杯した。
目の前には可愛いカズの笑顔とテーブルいっぱいの料理。
何を見てもカズの愛が溢れてて。
幸せすぎて胸がいっぱいになる。
「あぁ、なんて幸せな誕生日なんだろう…」
「よかった♡」
しみじみと幸せを噛み締めていたら、カズがすごく嬉しそうに笑った。
「あったかいうちに食べてね♡」
はいっと、今度はスプーンを渡される。
これはオムライスから食べてと言うことかな?
こんな盛り付けまで綺麗なオムライスを崩すのは勿体ない。
でも食べないとカズが落ち込んでしまうのは学習済みだ。
「いただきます」
「どうぞ召しあがれ♡」
手を合わせた俺を、カズがキラキラした目でじーっと見守っている。
こんなに見つめられると照れてしまってちょっと食べにくいけど。
カズの期待に応えるべく、オムライスを口へと運んだ。