第8章 誕生祝い to Sho
すぐ出来るという言葉通り、あっという間にダイニングテーブルは美味しそうな料理で埋め尽くされていった。
サラダに唐揚げ、ジャガイモのグラタンにスープにシーフードのパスタに…
「あ!これ!」
「うん、前に潤くんに教えてもらったパスタだよ」
思わず指さして大きな声を出してしまったら、カズがにっこり笑った。
やっぱりそうだ!
見覚えがあると思ったんだよ!
あれすごい美味かったんだよなぁ…
だから覚えてたんだけど。
「翔ちゃんが気に入ったみたいだったから、いつか作ってあげたいってずっと思ってたの」
ちょっと照れたようにはにかむカズ。
けっこう前のことなのに覚えててくれて、実際に作ってくれたことに感動してしまう。
「あと、これ…」
次に出て来たのは、何だかオシャレなオムライス。
「すげー!店のみたい!」
「これね、ドレス・ド・オムライスっていうの」
「ドレス…?」
なるほど。
確かに卵がドレスのスカートみたいにくるっとふわっとしている。
マジですげぇ!
こんなの家で作れるのか!
「翔ちゃんに食べて欲しくてたくさん練習したんだぁ」
「カズ…」
照れ隠しのようにえへへと笑うカズにキュンとする。
レストランで出てきてもおかしくないくらい綺麗なオムライス。
俺のために練習してくれたなんて…
もう、さっきから感動しっぱなしで泣きそうだ。
でも本当に泣いたらカズを心配させちゃうから、何度も瞬きをしてこみ上げる涙を誤魔化した。