第8章 誕生祝い to Sho
「あのね、これ全部智が作ってくれたの。こっそり準備してたみたいでね、午前中に潤くんと飾り付けに来てくれたんだよ」
「えっ?智くんが?潤も?」
「そう、サプライズだって…」
午前中に突然大荷物を抱えた2人がやって来て。
ニノは料理に集中してていいからねと言って、2人でチャチャチャっと飾り付けて、さくっと帰って行ったらしい。
言われてみれば、潤の家で誕生日会をした時の飾りと似ている…ような気がする。
全体的にシックにまとめられていた潤の時と違って、今回はだいぶ可愛らしいけど。
これはきっと、俺というよりカズの好みに合わせて作ってくれたんだろう。
どこか夢の国を彷彿とさせる、カズが好きそうな感じの飾りたちを見てそんなことを思う。
そしてカズが喜べば俺も嬉しいと。
さすが…
俺たちのことをよく分かってらっしゃる。
「俺も知らなかったからすごくびっくりしたけど…」
本当に驚いたらしいカズはニコニコ飾りを眺めていて。
「俺、指輪と料理で頭がいっぱいで、飾り付けのことまで気が回ってなかったから嬉しい」
「智くんと潤に、お礼を言わなきゃな」
自分は参加しないのに、こんな素敵なものを作ってくれた智くんにも、休日にわざわざ飾り付けのためだけに来てくれた潤にも、感謝しかない。
2人の気持ちが嬉しくて、胸があたたかくなる。
「写真撮っておいてねって言われたから、たくさん撮ろうね」
「うん」
じゃあ早速…とスマホを取り出そうとしたところで、キッチンの方から何かが吹きこぼれる音がした。
「わっ!お鍋火にかけたままだった!」
カズが焦ったようにパタパタとキッチンに駆け込んでいく。
写真は後でゆっくり撮ろう。
「翔ちゃん、ごめん!もうすぐ出来るから、座って待ってて!」
そう言えば、まだ上着も脱いでなかったことを思い出して。
「手を洗いたいから洗面所借りていい?」
「もちろん!」
コートを脱いでから、洗面所に向かった。