第8章 誕生祝い to Sho
「…っていうか!智は翔ちゃんて呼んじゃダメ!!」
赤い顔して一番に言うことがそれなの?
本当に可愛いんだから。
「はいはい、ごめんね」
「もう!ふざけないで、もっとちゃんとした渡し方考えてよ!」
すぐむくれちゃう可愛いニノの頭をなでなでしてたら、ニノはぷりぷり怒ってそんなことを言う。
からかわれてると思ったの?
俺は大真面目に提案してるのに。
「ふざけてないし。それが翔くんを一番喜ばせられると思うよ?なんでイヤなの?」
真剣だって伝わるようにニノの目をじっと見つめてたら、ニノは圧に負けたみたいに視線を泳がせた。
「だって…いつも言ってるから…新鮮味がないし…」
うん、俺も何度も聞いてるし。
自分で新鮮味がないって思うくらい、翔くんに大好きって伝えてるってすごいと思うけど。
でもそんなの、やらない理由にはならないでしょ。
「じゃあニノは翔くんに大好きって言われても新鮮味がないから嬉しくないの?」
「そんなわけないじゃん!嬉しいに決まってる!」
わざとちょっと意地悪めに聞いてみたら、食い気味に否定するのに。
「ほらー!翔くんも同じだって!」
「でも…1年に1回のお誕生日なのに…」
それでもまだウジウジ言ってる。
うーん…
要はお誕生日だから特別感がほしいってこと?
「じゃあさ、跪いて指輪ケースをパカってしながら愛を伝えたら?」
「それじゃプロポーズみたいじゃんっっっ///」
エア指輪ケースをパカって開くフリをして見せたら、さっき以上にニノが真っ赤になった。
「いいじゃん。翔くんをお姫さまにして、ニノが王子さまになるの。いつもと反対でかなり新鮮じゃない?」
「もうっ///からかわないでっ///」
「俺は超超超真剣に言ってるよ!」
「うぅ…」
言葉に詰まったニノはそのまま黙り込んで。
何やらずっと考え込んでた。
大丈夫だよ、ニノ。
何をしたって翔くんは絶対喜んでくれるから。
ニノがこんなに翔くんのことを想って悩みながら準備したんだって知ったら、翔くん感激して泣いちゃうんじゃないかな。
俺に出来ることなら手伝うから。
ニノにとっても翔くんにとっても、素敵な1日になるといいね。