第2章 誕生祝い to Nino
「智は愛されてるね…」
ニノは泣き笑いみたいな顔で呟いた。
「ニノだって翔に愛されてるだろ?」
本当にこのまま泣き出すんじゃないかって内心かなり焦ったけど、口にした言葉は慰めでも励ましでもなくて。
本気でそう思ってる。
「そうかな…そうならいいな…」
でもニノは泣きそうな顔のまま笑うだけだった。
あの時のニノの顔が頭から離れなくて。
それでニノのことを気にしてたんだけど。
翔たちの言う“ちょっと前”と、俺がニノと話した“ちょっと前”の時期が同じならば。
もしかしたら、ニノはこの2人の不自然な態度から何か誤解してたのかもしれない…
ニノは考えすぎて、時々その思考が変なところに飛んでいくことがあるんだって智が言ってた。
それはこの1年の付き合いでなんとなく分かる。
それに今回は翔と智が明らかに普段と違う行動をとってたからな…
さすがに浮気までは疑ってないと思うけど、何かしら不審に思っててもおかしくない気がする。
綺麗な作り笑顔の下で、ニノは一体どんな気持ちでいたんだろう?
飯が食えなくなるくらいなんだから、かなり思い悩んでいたんじゃないか?
もっと早く気付けてればフォローしてやれたかもしれないのに。
ごめん、ニノ…
申し訳ない気持ちになるけど、もう遅い。
明日ニノが心からの笑顔を見せてくれることを祈るしかない。