第2章 誕生祝い to Nino
帰る時は、智が駅までついてきてくれて。
翔を見送った後、少しだけ2人の時間を作るのが恒例になっていた。
それが俺の楽しみなんだけど。
今日は駅前で智と翔が何やら話し始めてしまった。
明日がサプライズ本番だから、まだ話しときたいことがあるようだ。
ま、仕方ない。
今日は暑いし、今のうちに飲み物でも買っとこうと少し2人のそばを離れた。
ちゃっちゃと買って戻ろうとした時
…え?ニノ!?
人混みの中、立ち尽くすニノを見つけて目を疑った。
でも何度見返しても、それは間違いなくニノで…
その目はまっすぐ翔と智を見つめていて、微動だにしない。
一瞬気付かなかったフリをするか迷ったけど。
道のど真ん中で立ち止まってるもんだから、前をよく見ていなかった人とぶつかってよろけたのを見て、思わず駆け寄ってしまった。
「ニノ!」
「あれ…潤くん…?」
近付いて声を掛けたら、ニノは驚いたように目を丸くした。
とりあえずその腕を掴んで、人の邪魔にならない場所へ移動する。
ニノはおとなしくついてきた。
「潤くん、どうしたの?これから智とデート?」
不思議そうに聞かれるけど、サプライズのことがあるから、何となく今までも一緒にいたとは言えなくて。
「まぁ、そんなとこ…」
「そっか」
曖昧に誤魔化してしまった。
まぁ、完全な嘘でもないから許してほしい。