第8章 誕生祝い to Sho
休憩してる間にだいぶ冷めた指輪を、水につけて完全に冷やして。
智の部屋に戻って、まずは一番不安なサイズを確認してみる。
ドキドキしながら翔ちゃんのサイズの位置に印をつけたサイズ棒に通してみたら、ほぼぴったり!
「智!見て見て!ぴったり!」
「おー!一発で成功じゃん!すごいすごい!」
嬉しくてテンションの上がった俺に、智はぱちぱち拍手を送ってくれた。
「じゃあサイズ調整しなくていいから、このまま磨いてこう」
「はーい」
「最初はこのブラシで磨いてね」
智に手渡されたのは針金みたいな金属のブラシ。
「こんなので擦って傷だらけにならない?」
「だいじょぶだいじょぶ」
なんだか心配になる。
智の返事が軽いのも不安要素だ。
とりあえず恐る恐る擦ってみるけど、あんまり変化がない。
「もっと強く擦って大丈夫だって」
「本当に?本当に大丈夫なの?」
疑っちゃうけど、このままじゃ完成しなさそうだから。
「大丈夫だからもっと力入れて」
ドキドキしつつ、智に言われるままゴシゴシしてみたら、白い粉がポロポロ落ちて銀色が見えてきた。
「おお…!」
「ね?大丈夫でしょ?」
「うんっ!」
なんか嬉しくなって無心で磨いてたら、全体的に白から銀色になった。
「次はこっちで磨いてね」
ニコニコ見てた智から、はいって今度は紙みたいなものを渡される。
「紙やすり?」
「そう。正確には耐水ペーパーっていうんだけどね」
「ふーん」
どう見ても紙やすりだけど何が違うんだろ?
まぁ、別に何でもいいんだけど。
「目の粗いのから始めて、どんどん細かいのに変えていってね」
「わかった」
言われた通り最初は粗めのやすりを手に取る。
磨けば磨くほど指輪がどんどん滑らかになっていくのが楽しくて。
翔ちゃんのことを想いながら、丁寧に丁寧に磨いていった。