第8章 誕生祝い to Sho
予想と違った反応にちょっと拗ねた気持ちになって、子どもみたいにふてくされる。
そんなの智からしたら理不尽でしかない。
「ねぇ、ニノ…俺、思うんだけどさ…」
でもそんな態度を取る俺に、智は真剣な顔を向けて。
言葉にするのがあまり得意じゃないのに、自分の思いを一生懸命伝えようとしてくれる。
「それって翔くんは本当に嬉しいかな?」
智は別に俺を非難してるわけじゃない。
ただ、自分はこう思うよって言ってるだけ。
それでも智の言葉は胸にサクッと刺さった。
それは智の言うことがもっともで。
俺もその通りだと思うからだ。
俺には小さな傷まで全部全部愛しいけど、翔ちゃんは上手に作れなかったとしきりに謝ってた。
翔ちゃんが気にしてるって知ってるのに、わざとマネして作るなんて、翔ちゃんからしたら嫌がらせみたいに感じるかもしれない。
相手のことを考えないで、独りよがりになってた自分に気づいて、ちょっと落ち込む。
翔ちゃんに喜んでもらうためのプレゼントなのに、台無しにしちゃうところだった。
「ニノにしか作れない愛を込めた指輪を作るのが一番いいんじゃないかな…って俺は思う」
智の言葉が今度はすとんと俺の心に落ちてくる。
素直にその通りだなって思えた。
智が俺の…ううん、俺たちのために言ってくれてるのが分かるから。
智の優しさに胸がじんわりあったかくなって。
「うん、そうする…気づかせてくれてありがと、智」
素直に感謝の気持ちを伝えたら、智は安心したように笑った。