第8章 誕生祝い to Sho
-Nside-
誕生日に翔ちゃんから指輪をもらって。
嬉しくて嬉しくて、俺も翔ちゃんの誕生日には指輪を作って贈ろうってすぐに決めた。
サプライズにしなかったのは、翔ちゃんに隠しごとをしたくなかったから。
俺を喜ばせるためにしてくれたんだって分かってるけど、あの時のことは今でも思い出すと胸が苦しくなるから。
翔ちゃんにはあんな思いさせたくないもん。
…で、指輪を作るって決めてから、どんなデザインがいいかたくさん考えて。
参考にって姉ちゃんの雑誌を借りたり。
翔ちゃんと一緒にアクセサリーショップに行ってみたりして。
色々見て、悩んで悩んで悩んで。
結局、翔ちゃんの綺麗な指にはシンプルな細身のリングが一番似合うんじゃないかってところに落ち着いた。
凝ったデザインは技術的にもセンス的にも自信がなかったっていうのもあるけど。
智にも相談して「いいと思う」って言ってもらえたから、そのつもりでいた。
でもね…
誰にも内緒だけど、もらった日から毎日指輪を眺めるのが俺の日課になってるんだけど。
ある時ふいに思いついちゃったんだよね。
俺も手作りするなら、全く同じもの…は無理でも、似せたものを作れるんじゃないかなって。
それでペアリングみたいにしたいなって。
翔ちゃんの作ってくれた指輪はちょっと歪で、たくさん凹凸や傷がある。
でもその1つ1つから愛を感じられて。
見る度、触れる度に、すごく愛しくて幸せな気持ちになるんだ。
大切な大切な俺の宝物。
翔ちゃんの指輪が大大大好きだから、単純におそろいに出来たら嬉しいなって思ったんだよ。
だけど、翔ちゃんの指輪と同じ模様をつけたいって言ったら、何故か智は微妙な顔をした。
てっきり、また「いいね」って言ってくれると思ってたのに…